2010年8月12日木曜日

今、「マイクロモノづくり」に関して、改めて想うところ。

3月を最後に、しばらくお休みをしていました、ブログですが、再開をいたします。

お休みをいただいていた理由は、自分たちの考える、「マイクロモノづくり」が果たして正しい方向なのかという不安があり、方向感をしばらく失っていたことがあります。

しかしながら、休んでいる間に、ずいぶん多くの出会いやイベントがあり、やはりこの方向性がまちがっていないと確信するにいたり、ブログを再開することにいたしました。


●今の日本は現実が見えているか。

「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えているわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見えていない」ユリウス・カエサル (僕の敬愛する、塩野七生さんの書籍から。)

現実を直視することは、時として非常に残酷ですが、次の時代を予知しそれに適切な処置を取るためには必要です。

今の日本人は現実が見えているでしょうか?

見たくない現実:

・84円を切りそうな円高
・世界の製造拠点は引き続き、中国その他東アジアの国々
・GDPでは、ほぼ中国に抜かれること確実で世界第3位に
・日本の主要産業である製造業大手の生産拠点は海外へシフト
・日本国内に、もはやメーカーからの量産案件は戻ってこない

これらの現実を見れば、日本の国力の衰えは確実です。すこし大きく言えば、国としての産業戦略が、完全に破綻したといっても過言ではありません。

なぜなら、周囲の環境が激変している中で、これまで主力産業であった製造業が国内で大量生産を行ない、それを輸出し、外貨を獲得するというゴールデンルールが永遠に続くと考え、産業戦略の大転換が必要であるにもかかわらず、その体制をそのまま維持するような方向で動いてきてしまったということです。本来であれば、10年前に舵を切っておくべきだったと思います。

その背景には、これまでのビジネスモデルが続くと考え、それに頼って生きてきた我々の怠慢であると考えます。

大手企業からの図面がなければ、モノづくりをする必要がない環境の中で、中小製造業は、自分で発想し、自分で企画し、自分でデザインし、自分で設計し、自分で試作し、自分で量産化し、自分で販路を開拓し、自分で資金を回収するという、戦前であれば本来のメーカーが持っていた機能を、「系列」の中で降りてくる仕事をひたすらこなすことで、能力を失ってしまったということが言えるとおもいます。

では、大手メーカーからの外注仕事がなくなった今、どうするべきなのか。

海外へ出て行く体力がある会社は、生産拠点の海外展開にともない、一緒に海外へでていくことがひとつの解なのかもしれません。

しかし、そこまでの規模、体力がない中小、零細はどうすべきなのか。

やはり、自分で発想し、自分で企画し、自分でデザインし、自分で設計し、自分で試作し、自分で量産化し、自分で販路を開拓し、自分で資金するという、本来のかたちにもどるべきだとおもいます。

ただし、これまでのように、大量生産のニーズはないですから、これまでの数の5分1、10分の1の数の最終製品を、5倍、10倍の付加価値で生産販売することで最終的な帳尻を合わすしかないのだと思います。

そのことを、我々は、「マイクロモノづくり」とよんでいます。

では、そのマイクロモノづくりを行うためにはどのような要素が必要なのでしょうか。

ここ数カ月の我々の活動を通じて感じた「マイクロモノづくり」に必要な要素を以下挙げます。

1.まずは、開発費必要な「種」になる資金。
自社で製品開発をすることは、ある程度まとまった資金負担が必要に。これらは、日々の売上のなかの一部を積み立てて行うか、国の助成金などの制度を利用する。金融機関からの融資は最終手段。

2. 異業種とのネットワーク
同業者ではなく、プロダクトデザイン、マーケティング、ブランディング、販路開拓などおこなえる外部とのネットワークが必要。これらが無ければ、自社で全ての人員を抱えてモノづくりをせざるをえない。リスクと資金負担がかえって大きくなるので、ワンオフで必要なタイミングで外部に委託する覚悟を。ネットワークをそなえたサービスビューローに相談するのもひとつの手。

3.独りよがりではなく、ユーザー中心のプロダクトデザイン

4.マーケティングも必要だが、大掛かりな統計データではなくターゲットとするコアになるユーザーの「生の声」が参考に。

5.そのモノづくりにかける、自社の熱い想いと、それを取り巻く人達の「物語」。
(ただ売れるからという目論見で、安易なキャラクター版権を付与するようなモノづくりではストーリーは決して生まれないし、時代はそのような製品を求めていない。キャラクターは大量生産時代の遺物。)

6.少量生産に適した 金型レスのモノづくり 
(中空・金属積層・樹脂積層・RPなどを積極的に使ったAddtive Manufacturingも自由に使いこなす、発想の柔軟性。)

7. 少量、多品種生産に適した品質管理手法の確立。

8. 社長自らが、サンプルを手にして営業に歩き、販路を開拓するほどの「強く売る」意志。マイクロモノづくりでは、ブランディングと販路開拓に全事業の7割のエネルギーを注ぐべき。

これらが、この数ヶ月で感じた「マイクロモノづくり」に必要な要素です。

これらの要素は、我々がこの数ヶ月にTwitter, Facebook Linked-inなどを通じ、日本のモノづくりを危惧する人々との対話の中から浮き彫りになってきた要素です。

折を見ながら、これらの8つの要素を、今後のブログの中で具体的に紹介していきたいとおもいます。

2010年3月31日水曜日

「中小製造業」X「マイクロモノづくり」X「BOP」戦略会議始まる

先日BOPのシンポジュウムで知り合いになった、東大博士課程のメンバーと日本のインターンという仕組みを創出した立役者のEITCのメンバーと初会合を行った。

博士課程の学生とはいっても、メンバーの出身は様々で、もと外資系コンサルティング出身、日本のシンクタンク出身、ETICの方も日本の大手メーカー出身などで、実務能力も高く、ばりばり仕事をこなす油が乗り切っている30代のメンバーたちばかりである。

会合の内容は、BOP(Base of the Pyramid:世界の残りの40億人)マーケットに対して、日本の中小製造業がもっているモノづくりの技術を生かした製品を、広めていくための方法としてどのような企画があり得るのかということだった。

ご承知のように、日本の製造業は非常に厳しい状態におかれている。

大手の製造業であれば、海外に工場を建て、現地の従業員を雇うことで、この円高はなんとか回避できる。

しかし体力のない中小企業に、いきなり海外へ行けといっても、それはハードルが高い上に、日本での雇用が確保出来ない。

日本の会社の99%を占める日本の中小製造業がすべて海外へ工場をシフトしたとなると、そこで失われる雇用機会の数を考えただけでもゾッとする。企業・住民税は下がりつづけ、失業者があふれ、町は荒廃するだろう。

メンバーディスカッションをしていく中で、各メンバーとも現状の日本の産業のおかれた環境に非常に危機感を感じていることがわかり、そこの部分では大いに共感した。

しかし、今回集まったメンバーは、実際にものをつくる主役の中小製造業の方々ではなく、あくまでも応援団や観客なのである。メンバーの中に主役の製造業の方がいない。そこで、このBOPに中小企業のマーケットがあるということを、製造業の方々にわかってもらうために、製造業とのネットワークの構築をを当社が提供するということになった。

日本の中小製造業の多くの方は、「BOP」という言葉さえ聞いたことが無い方がほとんどだろうと思われる。BOP世界の人口60億人のなかで世界経済の恩恵に浴している20億人の外にある、のこり40億人の市場のことである。

いま、日本の中小企業は全盛期のように、大手メーカーからの発注を期待して、雇用調整金を活用しながら従業員を確保し、なんとか経営を続けているところが多い。しかし、ここまで円高が進み、中国などに量産の生産工場が移転した段階では、それはもはや難しいといわざるをえない。

中小企業が自ら製品を作り出し、それを残りの40億人の市場に提供することも、日本の中小製造業が生き残る道ひとつの道だと考えられる。

今回の企画では、海外のNGOにネットワークを持つ企業と連携をして、日本国内の製造業や個人の方からBOP市場むけの貧困国で生活向上に役立ちそうな製品の企画・設計・デザインなどをWEB上で募集し、その製品のプロトタイプを実際にアジア・アフリカなどの貧困国の現場に持ち込み、現地の方に評価してもらう。

現地のニーズにマッチしていることが十分に確認され、その製品の評価が高ければ、インターネットによる寄付をつのり、その寄付が一定上の金額が達した段階で、中小企業側に発注をかけ、中量産し、現地のNGOを通じて製品を貧困国へ配布するというものである。

中小企業側には新たなマーケットが開拓出来き、貧困国の現地の方々は、その製品を使って、生活の質が上がる。またNGOにとっては、彼らの実績ということになり、企業や政府からの寄付を募りやすくなるというものである。

今回は1回目のMTGということで、具体的なプランなど、まだまだ詰めなければならないことは数多くあるが、今回集まったメンバーの共通の意見で、「1つでも成功事例をつくりあげ、BOPが中小製造業にとってマーケットになる事を気がついてもらう。」ということがもっとも重要だと。

今後、定期的にMTGを行い、会合の模様などをリアルタイムでBLOGやTwitterでアップしていきたいと考えている、その上で、今回の企画にご賛同いただけるかたのご意見を参考にしたり、実際に本企画にご協力いただけそうな中小製造業の経営者の方々に広く呼びかけていきたいと考えている。

我々に残されている時間は長くはない。今、ここで日本産業界が大手企業主体による輸出依存型の産業からマイクロモノづくりへ舵をきらないと大変なことになるとひしひしと感じている。

この試みを成功させ、BOPに対して、日本の中小企業がもっている技術で貢献し、その上で、経済的にも成果が得られるような仕組みを作りたい。

2010年3月22日月曜日

「中小製造業」×「大学」×「BOP」

先日、東京大学の博士課程の学生が中心で企画をしたBOPシンポジウムに参加した。

ある学生が、我々enmono社の活動をTwitter経由で発見し、直接DMで招待をいただいたのが、きっかけだった。

シンポジウムの内容は「BOP」: Base Of the Pyramid=世界経済の外にいる貧困層40億人を、日本の技術、大学の叡智を用いてより豊かな生活をできるようにするべきだということが趣旨であった。

シンポジウムにはMITのD-labという、ハイテク&ローテクを使って、途上国の生活を改善させるプロジェクトからの参加もあり、世界のもっとも先駆的な事例を、英語プレゼンテーションでに聞く機会に恵まれた。

恥ずかしながら、このシンポジウムに参加するまでに、BOPという言葉さえ知らなかった。

そもそも、「技術」とは人間の生活をより豊かにするために存在するものであるのであるが、現在ではそれが経済的な価値として金銭的に儲かる、儲からないで判断され、儲かる技術は世界中に広まり、また、儲からない技術は企業や大学のなかに打ち捨てられている。

しかし、「技術」の本来の持つ意味からすれば、それがより良いものであれば、世界中に広めるべきであり、それにより人々の生活を豊かにするべきものである。

「技術というものを、どうしたら現在の経済システムの外にいる40億人に対して広く普及させ、人々の生活をどうやったら豊かに出来るのか?」というのが、わたしなりに理解した「BOP」の活動であった。

現在、BOPに対して様々な活動を行っているNPOやNGOまたは個人の殆どは、その活動の原資を企業からの寄付によっている。

しかしながら、BOPへの普及がビジネス的にきちんと回りさえすれば、世界経済のパイは40億人分だけ膨れ上り、貧困層の人々の生活は、これまでより、より安全に、健康に、そして豊かになるわけである。

仮に、BOPの人々にとって絶対必要不可欠な製品を開発し、一人から1円と同じ程度の売上を上げることができれば、40億円の売上につながる。

本シンポジウムで事例として上げられていたのは、人間には生きていく上で必要不可欠な「水」の清浄化に着目した、大阪の中小製造業の「日本ポリグル株式会社」である。同社、では、納豆に含まれているネバネバ成分に着目し、その成分を粉末化して水中の汚れを吸着化させる技術を開発した。

同社の小田会長は自らバングラデッシュに足を運び、現地の人の目の前で水を清浄化するデモンストレーションを行い、製品のPRをしてきた。

すばらしいのは同社はバングラディシュの女性の方々を組織し、「ポリグルレディ」として現地で販売する組織をつくりあげつつあることである。

本活動により、これまで現金収入のなかったバングラデッシュの地元の女性の雇用を作り出し、経済的な自立を促し、さらに、本製品を販売し、飲み水を濾過してもらうことで地元の方々が衛生的で、健康な生活できるようになるということである。

日本の水道水はどこでもそのまま飲めるレベルまで清浄であるので、本製品の拡販は難しいが、深刻な水の汚染が問題となっている貧困国でのニーズは非常に高い。

同社の事例は一例に過ぎない、その他多くの日本の技術が貧困国から貧困と劣悪な生活環境を取り除くことに貢献できると考えられる。固定費が少ない中小企業であるからこそ、最初からそれほど大きくないマーケットに対しても斬り込んでいくことができる。これこそ、日本の中小製造業の次に開拓すべきマーケットの一つであると考える。

シンポジュウムのあとで参加者の方々との交流会があり、その場で何人かの研究者と参加者に対していかのような意見を申し上げた。

『日本の中小製造業は、内部に様々な技術シードを持っているにもかかわらず、国内大手メーカーからの発注がほそり、多量の生産設備と人員があまっています。日本の中小製造業が持つ高い技術を、BOPの方々向けに活用することができれば、経済的にも大きな果実を得ることができる上に、世のため人の為に働くという製造業の方々の意識の向上も期待できます。また、モノづくりを通じて、世界のBOPのために貢献できる製造業に、今の若者の意識を向けることができるたので、跡継ぎがいない中小製造業の後継者問題も解決できると考えています。』と。

多くの研究者の反応は、非常に好意的であった。そして、様々なディスカッションをさせていただくことができた。

そのディスカッションの中で、研究者の方は、現在の日本の製造業および中小製造業がおかれた立場を、ほとんどご存知なかったということににショックを覚えた。

そこで、学術の世界のなかのBOPと、実際のモノをつくる世界の方々の意識をつなげる必要を強く感じた。

双方の世界のブリッジになり、BOPのために日本の中小製造業の力を活かしていただくために経営者を説得することは相当にハードルが高い。

しかし、我々はこれまでのような大企業からの注文をこなしてゆくモノづくりから、中小製造業自らが最終製品をつくり、BOP市場に使ってもらうことで利益を得られるようなエコノミクスを設計していかなければ、日本の中小製造業は滅んでしまうのではという非常な危機意識を持っている。

日本に残された時間は少ない、そのなかで、どこまでブリッジになることが出来るのか、とにかく、心の声にしたがって動くしかない。アクションを起こすと気が来たと感じた。

その後、研究者の方から直接メールをいただき、日本の中小製造業の技術を活用してBOPのために貢献するプロジェクトを起こせないかとご相談をいただいた。

即座に「YES」メールを返信した。

なにか分からないが、大きなうねりが起きていることを感じる、まさに日本の開国時に起きたウネリのようなものが。日本を想う心、世界を想う心、それがエコノミクスとして回り始めたとき、次世代の日本、「ニッポンVer. 3.0」が始動すると感じる。

2010年3月17日水曜日

スイス型モノづくりはこれからの日本のモノづくりのひとつのカタチ

本日、Twitter経由で知り合った、スイスの時計産業にくわしいライターの方と面談をした。

スイスの時計産業では、時計ベンチャーが、ボコボコと創業しているとのこと。

世界に中国製の安い製品が広まった反動なのだろう、富裕層はより高価なもの、価値のあるモノを求めるようになった。

有名な時計メーカの中で実力をつけた、「時計プロデューサー」たちが、独立し、そこにVCや銀行が資金を投下して、会社を立ち上げるという動きが起きているとのこと。

これこそ、まさに、当社の目指している、「マイクロモノづくり」である。

そのライターの方のご意見ではプロデューサーに必要な要素は、「プロデューサーに求められる要素は三つだけ。モノが分かっていること(「知っている」ではない)、最終需要家の姿をちゃんと見ていること、そしてセルフプロデュースが上手いこと。これだけかなと思います。」ということである。


それにあえて、1つの要素を付け加えるとすると、「リスクを自ら背負う意志」だと思う。


わたしが、以前取材した「ユビタマゴ」の事例でも、窮地に追いやられた中小製造業の社長、自らが金型代金を負担し、販路を開拓するリスクを負って世に出した「ユビタマゴ」という美顔器が、大成功を収めた。


そこには、リスクを自ら負って、そのモノづくりを成功させるという、「意志」と「腑」が必要だと考えている。

スイスの時計は、時計プロデューサーがおり、そこに資本を投資する投資家がおり、モノづくりを支える高い技術をもつサプライヤーおり、そして、最後にもっとも重要なその時計を購入するユーザーがいる。


スイス型モノづくりは日本のモノづくり産業の今後をのひとつのカタチに成り得るとおもう。大量生産、大量消費の道をあきらめ、少量生産、高付加価値少量消費の道を作る。まさにマイクロモノづくりの思想だ。

しかし、日本のモノづくりと違い、スイス型モノづくりには大きなアドバンテージがある。それはすでに「スイスの時計」というブランドができあがっており、有名時計プロデューサーが新しい会社を起こし、その製品をリリースする段階で、世界中の販売エージェントが集まってくることだ。


スイスの時計産業では、すでに時計ディーラーという販売ルートが世界中にあり、製品の品質とセンスが良ければ、そのルートに乗せるだけで製品が売れてゆくという構造がある。

これは、シリコンバレーのネットベンチャーが製品をリリースして、世界を席巻できるのに似ている、インターネットという販路がそこにあるので、単純にWEBを公開すれば良いということだ。

モノづくりを事業として回す時に、最も大変なところはその製品の販路をいかにつくるのかということに尽きると考えている。

全く新たなカテゴリーの製品をリリースするときに、その販路を切り開くパワーは並大抵なものではない、それは、その製品を開発するのと同等かそれ以上の労力を必要とする。

enmono社の大きな課題として、モノづくりにおいて、販路をいかにして効率的に開拓出来るのかということがある。

これは、スイス時計のブランディングが非常に参考になる。モノづくりの物語をいかにして組み立て、そのメッセージをどれだけわかりやすく世界に発信していくことができるのかという戦略性が非常に重要だ。戦略を考え、実行するのが当社のミッションのひとつになる。

いずれにせよ、本日は、非常に良い刺激を受けた、またスイスのモノづくり事情を、今回知り合ったライターの方を介して少しづつ紹介して行きたいと思う。

2010年2月26日金曜日

国内大企業はベンチャーの革新的技術を潰すが、海外から攻める手がある

つい2週間程前、また、素晴らしい技術を持つ企業に出会った。

兄弟お二方で経営をされている会社で、ある電子技術開発に特化したことをやっていらっしゃる会社だ。

お兄様は、年齢は70歳近いとお見受けした。弟のかたは、営業担当役員をつとめていらっしゃる。

社長であるお兄様が発明・開発されたその技術は、現在多くのかたが毎日恩恵を受けている、ある革新的な先端的な技術だ。

工学博士というお兄様は、我々が付いていけないような、最先端技術のことを延々とお話をされた。

その技術は、現在多くの大企業が開発で悩んでいることを、一発で解消してしまう、画期的な技術だが、これも多くの開発型ベンチャーと同じく、「実績はありますか?」攻撃で相手を消耗させ、採用を検討するふりをして「サンプルを出せ」、「データを出せ」と次々と情報を出させて、挙句の果てに、特許の迂回の道を見つけ、周辺特許を固め、そのベンチャーにクロスライセンスを要求するという戦略をとる。

大企業も企業であるから、自社のリソースのみで仕事を進めたいということは、わかるが、先に発明している発明者に対しての敬意の欠片もない。中小企業から持ち込まれた案件を盗み見て、あたかも自分の手柄のように特許を出しまくる。

そのようにして、多くのベンチャー企業の技術の芽を摘んでしまう。

幸いにして、この会社が発明した技術の一部を使った製品を大企業が大量に生産し普及させることに成功したのでかなりの特許料を得ることができのであろう。

この会社は、その得た特許料を使って、次世代の技術を開発し、ようやくそれに成功するところまできた。

しかし、日本と言う前例主義に凝り固まった世界では、なかなかその技術を受け入れてくれるところはない。

営業といっても弟さんが一人でやられているだけで、ハードルの高い日本の大企業への営業は時間もかかるし、体力も必要だ。そこで営業支援・資金調達で我々にお声がけをいただいたというカタチである。

当社としては、この会社の開発した技術はまさに「産業界を変えてしまう」ほどのインパクトがあるという結論に達し、全面的に支援をさせていただくことにした。

まずは、シリコンバレーに拠点を置くVCに対してアピールするところから開始する。本技術は、日本の中で大手企業を相手にして悶々と悩んでいるよりも、海外で高く評価される可能性があるからだ。

このような素晴らしい技術を持っている日本の中小製造業はたくさんあると思う。

問題は、数ある中小企業で、今回のような「きらり」と光るものを持っている会社をどう探り当てるかだ。今回は幸運なことにある方の「ご縁」でご紹介をいただけることになった。

当社の社名、enmono(エンモノ)の「エン」は、「ご縁」のエンである。まさに、社名が導いてくれた、素晴らしい会社との出会いに感謝をしたい。

2010年2月25日木曜日

モノづくりのコアは「モノ」から「ソフトウェア」へ。そして、そこにある危機。

新しいモノづくりでは、間違いなく、ソフトウェアが重要になる。

先日、大手自動車メーカー出身の技術者の方とおはなしをしていた。

その方によると、高級車ではすでに組み込みソフトウェアのコード行数は1000万行を超えており、その数はますます増える傾向にあると。

おそらく2015年頃には、自動車の組込みソフトウェアの行数は1億行をこえるということ。

http://www.meti.go.jp/press/20100129002/20100129002-3.pdf

この膨大なソフトウェアの品筆管理を、通常のモノづくりの品質管理工学とおなじと捉えて管理することはすでに限界がきているということであった。

1億行というような膨大な数のコードを人間の目でチェックするのはほぼ不可能に近く、品質管理をおこなうためのツールはいくつか開発されている。

しかしながら、今回の大手自動車メーカーのリコールの問題は、この組み込みソフトの品質管理手法と、完成後のチェック体制に問題があったといわれている。

すでに、先端のモノづくりの競争ポイントは、モノからソフトへシフトしつつある。

はたして、現在の伝統的な製造業の開発部長クラスの人間で、ソフトウェア開発出身の人間が何人いるのか疑問である。

伝統的な「モノ」の品質管理は数々体験している人間でも、組込みソフトウェアの品質管理はまったくことなる次元であり、現在の大手メーカーの組織構造上、「モノ」出身の開発者が部門の上位ポジションをを務める限り、今回のような問題が繰り返し起こる可能性がある。

やはり、実際に、大規模組込みソフトウェア開発をしてきた人間が、事業部長クラスにならない限りは、組込みソフトウェアの品質管理問題はまだまだ発生する可能性が大いになると考えるべきであろう。

2010年2月5日金曜日

「マイクロモノづくり事例」No.1~自ら製品開発を行い、自ら販路を作る ユビタマゴ~

昨日、我々が探し求めていた、理想的な「モノづくりプロデューサー」の活動を行っていらっしゃる会社を訪問した。

ミツワ株式会社である。ミツワの三輪社長とは前の会社からのお付き合いである。

ミツワは化粧品会社向けの什器などをオーダーメードで製作していた。この会社は、もともとプラスチックの射出成形メーカーであった。大手の化粧品メーカーから依頼をもらい、製作をしてメーカーに納めるといった一般的な町工場であった。

しかしながら、リーマンショック後の不況の影響で、主力の化粧品などの什器の製作の仕事や、プラスチック射出成形の仕事は、受注はあっという間に減っていったと言う。

もともと、先代社長の次代から、『発明アイディを買う300人の社長』という本に掲載されるほど、一般の方や異業種でモノづくりしたいモノづくり起業家たちから、様々なアイディア商品の企画が持ち込まれる会社だった。

そんな中で、あるデザイン会社から整体師の方が考案した、マッサージやエステシャンの3本の指を再現した美顔器の試作の話が持ち込まれた。

当初の基本的な構造は現在出荷している製品とほぼ同じだが、残念ながら量産を前提としたモノづくりに適したデザインにはなっていなかった。そして苦労の末に、その試作品を仕上げ、納品をした。

しかしながら、その後、量産の話はでなかった。依頼者の整体師の方が、量産化するのに十分な資金を持ち合わせていなかったということが、理由だったと言う。

試作品納入後から、1年ほど連絡がなかった。しかし、多くの試作品が持ち込まれる中で、なぜか、この美顔器の試作品だけが、三輪社長の心の中でなんとなく気になっていた。そこで、整体師の方に、直接連絡をとり、量産化へ向けての説得を試みたという。問題は、発案者の整体師の方に開発資金が不足しているということだった。

そこで、三輪社長は決断を下す。設計費用・金型製作費用など全てミツワで負担をするので、製造と独占販売権を譲って欲しい、整体師の方には売れた分の中からロイアリティをお支払いをすると条件を提示した。

交渉の結果、製造・販売のリクスをミツワが負担することで、本製品の製品化が決定した。

しかしながら、実際に製品が出来上がってきても、販路を開拓するのも苦労の連続だったという。営業は三輪社長自らが、大手百貨店に持ち込み商談をおこなったが、ほぼ全部が門前払いだったという。

仕方なく、近くの知り合いの美容院に製品を数個おいて使って見てもらったところ、「小顔になった」というクチコミで数個が売れ始めた。

この美容院で売れ始めたという実績をもとにして、美容院にはさみやシャンプーなどをおろす、一次問屋へのアプローチをおこなったところ、こちらでも評価をいただき、扱っていただけることになった。

その後、TVショッピングなどにも評価をいただき、採用になった。TVショッピングでは、放映中に実際に整体師の方に顔半分の施術をしていただき、顔半分が小顔になることをカメラの前で証明。その整体師の指と同じ効果が、この美顔器を使えば自宅で再現できるというようなプロモーションをおこなったところ、大ヒットにつながった。

ここで三輪社長から印象深いコメントをいただいた、「製品を開発・生産するよりも、実際に販売する労力の方が遥かに大きい」と。製品を生産するよりも、販売するコストと労力が大きいことは、これまでメーカーからの依頼で製品を製造、納入してきた中小製造業には考えがつかなかったのだろう。

現在、開発した「ユビタマゴ」はバージョン1、バージョン2とあわせて約5万台が販売されたという。

このヒットの要因を尋ねたところ、企画者である整体師の方と、モノづくりのリスクを負った三輪社長との信頼関係が大きいというコメントをいただいた。

もともとこの企画は、ミツワ自身にはなかったものである。整体やエステという業界の知識もなかったし、そのなかでどのような施術がされるか、それをどのような製品に落とし込めば良いという発想そのものがなかった。

したがって、その企画を持ち込んだ方と、その製造・販売のリクスを負担するミツワとの双方が相互を尊敬、信頼することでモノづくりや、マーケティングなどもスムーズにすすみ、ヒットにつながったという。

ミツワは間違いなく、当社が新しい日本の製造業のかたちとして推奨する、「マイクロモノづくり」をまさに実践して高収益を上げていらっしゃる会社であり、その中で自ら製品開発のリスクを負い、整体師の方と協力してマーケティング、販売をおこなった三輪社長こそ、未来の日本の中小製造業が目指す、「モノづくりプロデューサー」だと考える。

今回の事例で、製品がヒットしたポイントを以下取り上げる:

・企画持ち込み者と製造者の相互の尊敬・信頼関係の構築。
・製造者が自ら資金を提供し、リスクを負うこと。
・製造者と企画者が協力して、マーケティング、営業を行うこと。

美顔器「ユビタマゴ



開発した「ユビタマゴ」と三輪社長



三輪社長とのお話の中で、ユビタマゴを開発していた当初は、仲間の製造業から、「本業を放置して、わけの分からないものの開発にのめりこんで、会社は大丈夫なのか?」という心配の声が多く上がったという。

まだ多くの中小製造業が日本国内での万単位でのロットの量産はその経済的な合理性からみて、戻ってこないことは間違いないのに、国内の量産が戻ってくると信じている。

そのことに早く気がついた、製造業が、まさにミツワのように、自社の持っているリソースをもとにして新たな中小製造業、「中小製造業 Ver2.0」へと生まれ変わるのであろう。


文責:三木

2010年2月2日火曜日

企業分割という手法、だが。。

財務超過に陥りながら、素晴らしい技術を持っている中小企業を救えないかということで、現在支援先の会社に関して、その分野にくわしい弁護士にコンタクトをとっている。


この企業分割という手法は、会社法が改正されたことから日本でもできるようになったが、まだ最先端の手法として、一般の弁護士事務所では二の足を踏むことが多いようだ。


実際、この件を相談したある弁護士事務所は、分割のスキームを電話で説明した段階で、対応出来ないと断ってきた。


それだけ、先端的な事例で、かつ株主からの訴訟などのリスクなどを検討した場合、会社分割を専門でおこなっているような事務所に依頼することが望ましいと考えている。


一般の司法書士でも対応出来るようだが、訴訟などのリーガルリスクなどを考えると、やはり弁護士事務所が望ましいと考えている。


問題は、債務超過に陥った会社には手元にキャッシュがないことである。


弁護士費用は決して安くはない、内容の複雑さによっては高級車1台分の弁護士費用が必要とされるケースもある。


そのようなコストをどこから捻出するのか、ということが今後の課題になるであろう。


その中小製造業の技術を高く評価し、その会社を再生させる価値があると判断した投資家などからの費用から捻出する方法、もしくは、今その会社が持っている資産を何らかの形でキャッシュに変えてそこから捻出する方法などが考えられるが、企業再生のためのコストをどこから捻出するか、それが今後の課題になる。


もし、投資家から企業再生に関わる費用に関しての支援を得られるようなスキームを完成させることができれば、それはenmono社の定番のスキームになることができると考える。


何事にしても、悩まず、常に前向きに考えていけば解決策は見つかると信じて前進だ。

2010年1月26日火曜日

Twitter:「王様の耳はロバの耳」

Twitterというメディアに関して、実際に自分でも使ってみて感じたことなのだが、これほどシンプルでこれほど効果的な意見の吸い上げシステムはいままでなかったと思う。

現在、ユーザーが爆発的に伸びている(特に日本・アジアで)Twitterだが、わたしが最初に登録したのは、約1年3ヶ月前の2008年4月5日ということになっている。

その当時は、全く日本語ユーザもほとんど存在しておらず、いったいこの仕組の何がすごいのかが、全くわかってなかった。

その当時は殆どが海外ユーザーであり、交わされるつぶやきも、ほぼ全て英語であった。

しかしながら、日本語ユーザーが増えるにつれて、そのメディアとしてのすごさを実感するようになってきた。Twitterは巨大な井戸端会議である。会話もあるが、殆どが聞き流しだ。

しかし誰かのつぶやきの中に重要な意味が込められていた場合、そのつぶやきは童話、「大様の耳はロバの耳」とおなじく、たくさんの人にReTwittという形で呟かれるのだ。

このReTwieetの機能は当初はサービスには実装されておらず日本では2009年1月から実装された機能だ。

簡単にいうと、誰かのつぶやきの中から、良いコメントがあった場合、このReWieetボタンをおすことで、他の人のタイムラインにもそれが表示される。そのタイムラインに掲載されたつぶやきを、また気に入った人がいれば、再度ReTwieetされるいうように、口から口へと重要な情報が伝達されるという仕組みだ。

まさに口伝であり、噂が広まるのと同じだ。

ただ、この情報の伝達には万人のフィルタリングという機能がある。

この万人のフィルタリングの中で、偏った考え方、間違った情報は自然とタイムラインから脱落することで、情報の精査がおこなわれる。

逆に、正しい情報 正鵠を射た表現はタイムラインの上に何度も表示されることで、多くの人間の目にふれることになる。、

イソップ童話で描かれた床屋の主人公は、たまたま王様の耳がロバの耳であることを知ってしまう。きつく口止めされるが、どうしても我慢しきれずに井戸の底に大声で、「王様の耳はロバの耳!」と叫んでしまった。

Twitterという井戸の底にむけて、日ごろ言えない「そうなんじゃないか・・」という正論を大声でつぶやいたら、みながその正論をReTwitteして、いつの間にか世界中に広まってしまう。

皆がなんとなくそうではないか、でも、正面切ってはいえないということを個人が「つぶやく」ことでその意見にスポットライトがあたることになる。

Blogではある程度自分を偽って、大きく見せながら意見をいうような脚色が可能である。実際、過去には自分の職場にBlogで全く自分とはかけ離れた自分の姿を、延々と書き連ねている人間を見たことがある。

Twitterの場合、脊髄反射的に140文字で表現することになるので、長い間の発言をみれば、その人間の本質が、「まるっ」と出てしまう。したがって、いやらしさ、しつこさが出ても、人はフォローを外してしまう。

ということで、Twitterの特性をまとめると:

・万人の目によるフィルタリング
・個人の本質が「まるっ」でてしまうことによる意見の信憑性

この辺がいままでのメディアにはなかった情報に対しての付加価値だろう。

そのつぶやきの本人が、十分に信用に足る人間であることが前提となるが、自分の影響力を広めるツールとしては最適であろう。

ただし、よりその人間の本質を求められるツールということで、自分の人間としての質をあげていかなければならない。まさに、使い手を選ぶツールということで、最大の活用にはそれなりの鍛錬が必要になるのであろう。

2010年1月24日日曜日

中小製造業を救う「企業分割」という手法

現在支援している中小製造業で、財務内容があまりにも悪く、新規の融資や投資を受けられない会社がある。

新規の融資・投資だけではなく、大手メーカーとして取引をする場合、財務状況をチェックることがほぼ100%なので、新規で取引できる可能性は極めて小さい。

この会社の持っている技術の「たね」は相当良いものを持っている。

その技術は非常に簡単に量産化でき、しかも、その製品を量産し、リリースした時の社会的なインパクトは計り知れないというような技術である。

日本の中小製造業のなかで、そのような素晴らしい技術の「たね」を持ちながら、これまでに累積してきた債務が重くのしかかり、新規の融資や投資などを受けられないという会社かなりあるのではないか。

そのような状況に直面したとき、解決策としての「企業分割」というものがある。これは、中小製造業の再建に数多く携わってきた当社の顧問からの提案であった。

この手法は、会社を「良い会社」と「悪い会社」にわけるのだ。

「悪い会社」には債務を残し、その会社から知的財産やその他流動資産を「良い会社」に移転する。それらの知的財産権や流動資産の価値を計算し、それを現物出資として新会社からの株式100%を旧会社が取得するという方式だ。

「悪い会社」と「良い会社」のトータルでの価値は変わらない。

「良い会社」は知的財産としての営業権や特許権を資産として持つことができるので、それらを使って製品を生産・販売できる。財務的に身軽になった会社に新たなと融資と投資から資金を調達して営業活動を行う。

旧経営陣は「悪い会社」にそのまま残留し、新しい経営者を「良い会社」に設置する。技術指導や研究・開発などは「悪い会社」に対して「良い会社」が委託をする。

新たな投資で「良い会社」に利益が出た場合、良い会社から、悪い会社に研究開発委託費用を支払い、悪い会社の経営陣はそのなかのお金から、債務者に対して返済をすこしづつ行う。

もちろん、新会社である「良い会社」はIPOや売却も可能であり、その100%株式を保有している「悪い会社」は上場益や、売却益を得ることも可能だ。

この手法が使えるのは以下の条件が必要となる。

・旧経営陣が現状の財務状況ではどうにもならないとあきらめ、覚悟を決めている。
・持っている技術や製品の市場価値・技術価値が相対的に高く、新規の投資融資対象となりえる。
・旧経営陣と「良い会社」の新社長との間に強い絆がある(旧経営陣のご子息が望ましい。)

このような状況の時に、会社分割をおこない、企業を再生させるということができると考えている。

この支援は、まだ道半ばだ。しかし、この会社の持っている技術は非常に高い価値を持っていると考えている。

もちろん、新しい「良い会社」に対して、そんな簡単に既存の金融機関が融資・投資を行うわけはないと考える見方もある。しかしその場合は、日本の製造技術に強い関心をもっている、海外の投資家を当てるという方式も考えられる。

とにかく、いくつもの海と山を越えなければ実現出来ないスキームであるが、トライしてみる価値はあると考え、当社ではその方針で支援することに決定をした。

2010年1月17日日曜日

「マス・モノづくり」の時代から「マイクロ・モノづくり」の時代へ

もうすでに、多くの方々が気がついているとおもうが、量産分野での日本のモノづくりの使命はおわった。

先日、30歳~40歳代の日本の錚々たる大手メーカーの購買部門の一線で活躍するバイヤーの方々が集う非公式の会に参加した。そこでの結論も、日本国内での量産案件はすでに終了しているという論が主力となった。

その会には業界、業種を超えた方々が集っていたが、それが議論の終着点ということはみなが見えていたとしても、恐ろしくてそのことに皆触れられないような雰囲気があった。

大手メーカーの第一線で「購買」という、モノの動きが一番見える部署の方々が、肌感覚で掴んだ動きから類推した結論も同じ意見だったのである。

これまでは、まだ、「国内においては、量産分野での日本のモノづくりの使命はおわった。」という自論が仮説であって欲しいという淡い期待があった、しかし、メーカーの方々の認識も同じであったということに、ショックを覚えた。なぜなら、これまでの仮説が現実化してしまったからである。

高騰する円と、中国をはじめとする安い労働力の生産拠点が勃興する中では、数十万というロットでの量産モノづくりを国内で行うことの、経済的なメリットはもはや無いと言った方が適切だろう。

国内での量産は終わったということであれば、これから数十万という大量ロットを主とするモノづくりから、数十~数千単位での「マイクロ・モノづくり」に日本の中小製造業をはじめとした製造業はシフトする必要がある。

少量生産のものを、できるだけ高い付加価値をつけて、販売ルートにのせることが、「マイクロ・モノづくり」である。それこそが、日本のモノづくりの火を残す最後の手段になるであろう。

仮に日本が、「マイクロ・モノづくり」の道を選択するとなると、付加価値が高く、1種類のロットが数十~数千という製品を生産・販売して利益を稼ぎ出すという体質になっていかなければならない。

そのバリエーションも、1000~1万種類もあればその中で大ヒットとなる製品もいくつか出てくるであろう。大ヒット製品は、国内から海外への生産へ委託されて行く。

そして、それらの「マイクロ・モノづくり」製品の企画・開発するのは、日本の大手メーカーではなく、動きの速いモノづくりベンチャーや中小製造業になると考えている。

しかしながら、これまで、中小製造業は製品を自ら企画・開発するという事をおこなってこなかったので、その部分を強化してゆく必要がある。

もちろん、それを1社のみで行うのは非常に困難だ、なぜなら製品がかわる度に、新たな企画開発を自社のリソースのみでおこなうこは、経済的に見ても非常に困難だからである。

製品の企画・開発・設計そして、最後の販路開拓までをおこなうためには、様々な業種業態を連携コーディネートする「モノづくりプロデューサー」の存在が必要となってくる。

この「モノづくりプロデューサー」は、映画のプロデューサーをイメージしている。

自分で企画を起こし、出資者を募り、資金を調達し、キャストを決め、監督を決め、制作進行管理をし、最終的に上映し資金を回収し、そして儲かった資金を次の映画作り(モノづくり)につなげる。

そのプロデューサーの部分を、わが社enmono社ではお手伝いをさせていただきたいと考えている。

当然わが社だけでは日本全体のモノづくりのプロデュースをするのは困難だ。そこで、中小製造業の2代目・3代目の経営者に対して「モノづくりプロデューサー」としてのコーチングをさせていただき、将来的にはそれら育成したプロデューサーと当社が連携して一緒にマイクロモノづくりをおこなっていただけるような体制を将来作っていきたいと考えている。

「マイクロ・モノづくり」を広め、日本の製造業にもう一度、「火」を入れるのが当社の使命と考えている。

2010年1月16日土曜日

大企業にいる意味とは

本日、大手の製造業の購買担当者が集まる会に出席した。

2010年どんな年になるのかを、みんなで情報を出し合おうという会合である。

そこで、皆の口から出た言葉は、スキルをより高めないと、必要無くなる、つまりリストラの対象になるというまさに、危機迫る言葉だった。

高まる円高と、海外の安い労働力との競争。そう、国内で量産化するコスト的なメリットはぼぼ無い。

つまり、国内での量産化する案件はどんどん減っていって、必要無くなるので、国内量産工場で購買する仕事もなくなるということだ。

そこで出た意見としては、ルーチンの購買活動を行っている限りでは、購買業務そのものが、海外の日本語が堪能な外国人に替られてしまう。

戦略的な意志をもって、サプライヤー・設計者・品質管理・購買部門を精密にコーディネートすることが、これからの購買マンに必要とされる能力であると。

2010年間違いなく、大手・中堅は大リストラの波にあらわれる。そこではじき出された、技術者・購買担当者・営業・業務多くの人々が、いわいる企業内での経験しか無い。つまり自分たちが、自分たちの力で食べてゆく技能がないということだ。

2010年は、まさに、個人事業主元年といってイイだろう。
個人事業主として生きてゆくためには、どのような知識・知恵が必要か、どのようなインフラが必要か、それらを当社が提供することで、モノづくりの種をすこしでも国内に残すことができれば、当社の価値は十分にあると考えている。

2010年1月15日金曜日

社会起業家という生き方

先日、出身大学のあつまりで、社会起業家たちが集う集まりに参加してきた。

なぜ、当社が社会起業家のあつまりにお招きいただいた時は少々戸惑ったが、それにしても実に様々な方たちが参加していた。

集まりの中で様々な方が紹介される中で、この集いに参加したK先生(昔から知っているHBS出身の先生)にたいして、「社会起業家」って語源はどこからきたのですか?とたずねてみた。

「そもそもはイギリスのうんぬんかんぬん・・」
と説明をしてくださった。

そこで、ひとつの疑問を投げかけた。
松下や、京セラなど「世のため人の為」を掲げてきた企業は社会起業ではないの?

そもそも、ほぼ全ての日本企業の企業理念の中には「社会貢献」や「人類の幸福」などの言葉がはいっているはずで、そういうことを言えば、日本は社会起業天国ではないかと。

先生はそこで、お答えには困ってしまったようで、明確な答えをいただけなかった。

また、K先生は、このようにもおっしゃっていた、JALが破綻して、その破綻の原因探しをして責任をお互いになすりつけ合う大人たちが多い中で、「自分たちのことを自分たちで何とかするんじゃい!」と小さいながらも行動をおこしているこういう人達がいると思えば、まだ日本も安心だと。

その同じ会場で、Kさんという後輩に偶然で会った。
藤沢で、老人のDAYケアを支援する会社を立ち上げた人間だ。たまたま同じゼミの後輩という立場にいた彼だが、大学院在学中の10年前からその活動をおこなっている。

その当時にはまだ日本には社会起業家という言葉はなく、ボランティアに近い活動なのだなと記憶していた気がした。

その後輩と話をしたが、DAYケアやその他医療にかかわる仕事を続けて行くうちに、自分に医学的な知識がないことに限界を感じ、現在では医学部を目指して勉強中だと言う。

10年、だれの助けも借りずに一つのことを貫くには、本当に自分が何を求めているのかという心の声をきかないと継続は難しい。彼は、その自分の心の声を正直に聞いて、実践してきた。だからこそ、軸がブレないのだとおもう。

最近では巷で「社会起業家」と言う言葉が確立され、注目も集まっているようだが、本当は彼のように地道で目立たなく、自分の軸をずらさずに道を切り開いてきた先輩の存在が大きいのだと思う。

彼は後輩だが、人間としてはぼくの何倍も大きな人間だと思う。そして尊敬をしている。

10年後振り返って、enmonoもひたすら、「モノづくり創業を支援する」ことを追求しているならば、少しは彼に近づけるかもしれない。

2010年1月12日火曜日

Twitterというメディアの特性

最近、Twitterがホットである。

なぜ、ホットなのかというと、このメディアが初期のインターネットに非常に近い感覚だからである。

日本でインターネットが導入され始めたころ、1992年頃だったか、NiftyやCompuserveのようなパソコン通信経由でTelnetを起動しそこからインターネットにアクセスしていた。

Telnet経由でNASAのコンピュターなどにアクセスしていた頃が懐かしい。

その頃は、Internetというわけのわからないものを協力してお互いに学習しようという風潮が強く、ちょっとしたMLなどでインターネットに関しての討論会や集まりなど企画すると、あっという間に20-30名の見ず知らずの人々が集うことができた。

互いに顔は知らないが、Internetというものに皆同じ興味関心をもっていたことである。

Twitterの今も同じような「のり」で、だれかが、Twitterに関して議論しようとつぶやくと、それこそ2~3日の告知で数十名が集まるというような現象が昨年末からかなり頻繁に起きるようになってきている。

昨年からのTwitterユーザーは、イノベーターというカテゴリーで、今年に入ってからアーリーアダプター化しつつあるという印象をうける。

今週の週刊ダイアモンドでTwitter特集をすると聞いているので、そうなると、一気にアーリーマジョリティーへすすむのではないか。

もう一つ、このTwitterというメディアの特性は、その個人の本質がもろに出てしまうということである。BlogやWEBサイトよりも、短い時間軸で動いているので書き込んでいるユーザーの本音・本質がでてしまうということである。

Blogは、いろいろと推敲して書くことができる、しかしTwitterは脊髄反射的に書きこむので、嘘はかけない。WEBやBlogにくらべて、きわめて嘘をつけないメディアなのだ。

enmono社では、この嘘のつけないメディアとしてのTwitterを極めて重要視しており、enmonoサポーターのつぶやきも、いずれenmonoサポーターページから閲覧できるようになる予定である。このtwitter情報をたよりに、サポーターのある程度の質も判断していただけるようにしていきたいと考えている。

仕事においても、最初だけお付き合いしただけでは、その人間の本質は見えず、長い時間軸で、その人間のちょっとした発言、行動などの端々から、その人間の信頼度を判断することが多い。Twitterもそれと同じように考えられる。

最近はものづくりに携わるかたも、少しづつTwitterに参加してくるようになった。このTwitterというメディアを上手に利用して、ものづくりのネットワークを広げて行きたい。

2010年1月8日金曜日

オフィスという固定費を持つ意味

当社は製造業支援を生業にしているが、オフィスは特に決まった場所はない。

というと語弊があるかもしれない。あえて言えば、PCの中がオフィスである。

基本的な情報共有は、メールよりもチャットが多い。また、FAXと電話は固定電話にかけると携帯に転送される。

従業員同士のファイルのやりとりはDropBoxというクラウド上のサービスでつねにシンクロさせている。

グループウェアは、Googleカレンダー、メールはGmail、名刺管理はEvernoteというドキュメント管理専門のクラウドウェアを使用している。現在の名刺は、パートナーの宇都宮のものも含めて5000枚以上ある。これらは、Iphoneから全て検索可能だ。

これらのアプリケーションは原則すべて無料で使える。

ワード、エクセル、PPTなどはもちろん購入したものだが、複数で共有するファイルは、GoogleDocumentsで共有している。

また、オフィスも午前中は自宅で作業を行い、東京・横浜とその日の打ち合わせ場所に近い場所を選択できるバーチャルオフィスを借りているので不自由はない。会議室は1時間500円を支払えばつかえるという次第だ。

登記のみ、実家のアパートの一室に登記してあるが、それもほぼ倉庫のような状態だ。

バーチャルオフィス・電話代・FAX代・登記している場所の賃料をあわせると約1万円が固定費だ。

製造業の場合は、設備の維持管理という意味で工場を持つ必要がでてくる、しかし、製造業の方々にお仕事を依頼するような事業形態や、ある種の知的生産をおこなうような事業形態の場合は、もはやオフィスさえ無駄になっていると言わざるをおえない。

知的生産をおこなう事業体は、この時代に、オフィスという高い固定費を支払い、生き残れないだろう。
固定費のある・なしが大きく効いてくるからである。

企画がに詰まった時に、自宅近くの無線LAN完備のカフェにゆくと、驚くほどに仕事が進む。人間の脳は外部の環境変化に大きく左右されるようだ。

2010年1月5日火曜日

体験しないと理解出来ないこと

最近、支援先の中小製造業に投資を集める仕事に注力している。

で、「お金」と聞くとなんだか胡散臭いと感じる御仁がいらっしゃるようで、あなたはそのような仕事はすべきでないと真顔で親切にアドバイスをいただいたたりスルこともある。

大体そのような方は中小企業を体験されたことがない方で、中小をめぐるお金の厳しさはとんと体験したことがない方が多い。

確かにモノづくりも困難をきわめることは理解できる、だが中小にこの時代にお金を投資するように働きかけるのは、本当に至難の業ということも理解してもらいたい。

仕事はお客があることが前提だ、その次に資金だ。しかしその資金を一般の金融機関から集めるのは至難の業だ。資金がなければサンプルも作れない。サンプルがなければお客も付かない。悪循環のお出ましだ。技術がいかに優れていようと、それは関係ない。

お金と言うものは、いかに楽に稼げるのかというところに流れていってしまう。

でも、その逆に、今みんなが張っているのと逆にかけることで、大きなプロフィットを得ることができる。これも真実だ。我々の仕事は、その可能性を極力わかりやすく、投資家に伝えることだ。それが使命だ。