スキップしてメイン コンテンツに移動

Twitter:「王様の耳はロバの耳」

Twitterというメディアに関して、実際に自分でも使ってみて感じたことなのだが、これほどシンプルでこれほど効果的な意見の吸い上げシステムはいままでなかったと思う。

現在、ユーザーが爆発的に伸びている(特に日本・アジアで)Twitterだが、わたしが最初に登録したのは、約1年3ヶ月前の2008年4月5日ということになっている。

その当時は、全く日本語ユーザもほとんど存在しておらず、いったいこの仕組の何がすごいのかが、全くわかってなかった。

その当時は殆どが海外ユーザーであり、交わされるつぶやきも、ほぼ全て英語であった。

しかしながら、日本語ユーザーが増えるにつれて、そのメディアとしてのすごさを実感するようになってきた。Twitterは巨大な井戸端会議である。会話もあるが、殆どが聞き流しだ。

しかし誰かのつぶやきの中に重要な意味が込められていた場合、そのつぶやきは童話、「大様の耳はロバの耳」とおなじく、たくさんの人にReTwittという形で呟かれるのだ。

このReTwieetの機能は当初はサービスには実装されておらず日本では2009年1月から実装された機能だ。

簡単にいうと、誰かのつぶやきの中から、良いコメントがあった場合、このReWieetボタンをおすことで、他の人のタイムラインにもそれが表示される。そのタイムラインに掲載されたつぶやきを、また気に入った人がいれば、再度ReTwieetされるいうように、口から口へと重要な情報が伝達されるという仕組みだ。

まさに口伝であり、噂が広まるのと同じだ。

ただ、この情報の伝達には万人のフィルタリングという機能がある。

この万人のフィルタリングの中で、偏った考え方、間違った情報は自然とタイムラインから脱落することで、情報の精査がおこなわれる。

逆に、正しい情報 正鵠を射た表現はタイムラインの上に何度も表示されることで、多くの人間の目にふれることになる。、

イソップ童話で描かれた床屋の主人公は、たまたま王様の耳がロバの耳であることを知ってしまう。きつく口止めされるが、どうしても我慢しきれずに井戸の底に大声で、「王様の耳はロバの耳!」と叫んでしまった。

Twitterという井戸の底にむけて、日ごろ言えない「そうなんじゃないか・・」という正論を大声でつぶやいたら、みながその正論をReTwitteして、いつの間にか世界中に広まってしまう。

皆がなんとなくそうではないか、でも、正面切ってはいえないということを個人が「つぶやく」ことでその意見にスポットライトがあたることになる。

Blogではある程度自分を偽って、大きく見せながら意見をいうような脚色が可能である。実際、過去には自分の職場にBlogで全く自分とはかけ離れた自分の姿を、延々と書き連ねている人間を見たことがある。

Twitterの場合、脊髄反射的に140文字で表現することになるので、長い間の発言をみれば、その人間の本質が、「まるっ」と出てしまう。したがって、いやらしさ、しつこさが出ても、人はフォローを外してしまう。

ということで、Twitterの特性をまとめると:

・万人の目によるフィルタリング
・個人の本質が「まるっ」でてしまうことによる意見の信憑性

この辺がいままでのメディアにはなかった情報に対しての付加価値だろう。

そのつぶやきの本人が、十分に信用に足る人間であることが前提となるが、自分の影響力を広めるツールとしては最適であろう。

ただし、よりその人間の本質を求められるツールということで、自分の人間としての質をあげていかなければならない。まさに、使い手を選ぶツールということで、最大の活用にはそれなりの鍛錬が必要になるのであろう。

コメント

このブログの人気の投稿

「マイクロモノづくり」とガンディーの「チャルカ」思想

「マイクロモノづくり」とガンディーの「チャルカ」思想  インド建国の父であるマハトマ・ガンディー(「マハトマ」とは偉大なる魂の意味で愛称)と一緒に写っている糸車のことを「チャルカ」と言います。このチャルカは建国当時、インド国旗の中心のマークとなりました。現在のインド国旗でもその面影が見られます。 チャルカとガンディー( Wikipedia より) 建国当初のインド国旗( Wikipedia より) チャルカが国旗の中心にある。 現在のインド国旗( Wikipedia より)  当時イギリスの植民地にされていたインドは、原料の綿花を耕作し、それを輸出してイギリスから得たお金を、自分たちの輸出した綿花でつくられた布地を再びイギリスから買うことで吐き出すという状況でした。  インド人が自分たちが栽培した綿花なのに、なぜわざわざイギリスから布地を買わなければならないのか・・  ガンディーは国民がイギリスに依存する姿勢を改めるため、イギリスから布地を買うことを止め、自分たちで身につけるものは、すでに納屋にしまって数十年も経た「チャルカ」を納屋から出してきて、昔のように使い自分たちで生産した綿花を、自分たちで紡いで糸にし、それを自分たちの手でカディーという布地にして自ら身につける運動を展開することで、チャルカを独立運動のシンボルにしました。  「マイクロモノづくり」の思想も、中小企業・メイカーズが大企業の下請けとなり、そこに依存する生き方を選択するのではなく、自分がいちばんのユーザーになり、自分が欲しいものを企画・開発・生産をして、自らが販売を行うという、「独立自尊」の精神を持って事業を展開して行くという意味で、全く同じ考え方を持った運動です。  18−19世紀にイギリスから発祥した産業革命により、人々は安価に大量の製品を手に入れることができ、生活の「質」という意味では著しく向上しました。  産業革命により、大規模な生産設備に多数の労働力を集め、生産を行うために、事業家に資本を貸し付け、「利子」という新たな冨を生み出す金融ビジネスも大きく成長しました。産業の発展と、金融ビジネスの発展は車の両輪のように互いに支え合いながら成長していったのです。  正確な需要がつかめないものを、安価に販売するには、大量の材料を一度に

マインドフル・ビジネスについての考察(後半)その市場規模はどれくらいあるのか?

マインドフル・ビジネスについての考察(後半) その 市場規模はどれくらいあるのか?    前回のブログ「 マインドフル・ビジネスについての考察(前半) 」 の宿題で、マインドフルネスの市場規模がどの程度あるのかということを探るべく、いろいろ調査して探ってみました。  はたして、マインドフルネス市場の大きさはどの程度なのだろうか?という疑問から、海外の調査レポート など散々に検索しても、それらしき数字は出てきませんでした。  海外のWEBを探ると 、 雑誌フォーチュンのこの このような記事 や 、 NYCの関係者がまとめた MBSR ( Mindfulness-Based Stress Reduction Program ) の市場規模 などを見つけることができました 。  そもそも、未だマインドフルネス市場は立ち上がっていないのかもしれませんし、立ち上がっていない市場を予想するのは非常に難しいのだと思われます。  結果としてマインドフルネスの市場規模と明確なデータを見つけつることが出来なかったので、完全なる私的な推測で市場規模の予測をしてみようとおもいます。  まずは、マインドフルネス・ビジネスとしてどのような市場カテゴリーがあるのかということを以下にまとめてみました。 1. IoT&ものづくり  IoTとモノづくりの市場におけるマインドフルネス市場の予想を考えてみましょう。マインドフルネスのブームとともに、自宅でも坐禅や瞑想を行う方が増えてきています。  自宅の近くに禅寺があるような恵まれた方は、定期的にお寺に通い指導をしていただけば良いのだとおもいますが、そうではないメディテーターのために、IoTを用いて瞑想をアシストするような必要性が出てくるのだとおもいます。  そこで、IoT市場でも、先の取り上げた MUSE のようなマインドフルネス瞑想をアシストするような製品が登場すると思われます。マインドフルに特化したセンサーのようなバイタルセンサーなども含まれると考えれられる。この数字はあくまでも既存の市場データを参考にして、非常にざっくり算出してみました。 マインドフルデバイス MUSE 参照URL: http://www.choosemuse.com/ 自動

禅に学ぶイノベーションのあり方 「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)  〜イノベーションは外部ではなく、自分の足元にあり!〜

禅に学ぶイノベーションのあり方 「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)  〜イノベーションは外部ではなく、自分の足元にあり!〜   日本のように成熟した市場で既存のビジネスに限界を感じている大企業は、「イノベーション」というキーワードのもと、新たな価値をうみ出そうとしています。  様々な、「イノベーションの起こし方」なるツールが開発され 公開されているように感じされますが、そのツールを使うだけで本当にイノベーションが起こせるのでしょうか?   私は、ツールではなく、イノベーション担当者の心のあり方に関して、我々がzenschoolという中小企業向けイノベーション講座を続ける中で得られた考えを示したいと思います。 「 Mee - too」イノベーション ( 手がかり情報を外部に求める )  イノベーション担当になった製品開発担当は、製品の企画を求めて、世の中の情報を探ります。インターネットを通じて、たくさんのWEBの記事を参考に情報を集めます、またSNSなども活用しつつ、現在どのような製品が市場で流行りつつあるのかということも調査します。  そこで担当者は参考になりそうな関連書籍をたくさん取り寄せ、読んでみたり、その業界の展示会に足しげく通い、情報を集めたりします。  仮にこのようなイノベーションのスタイルを「Me-too」(ミー・トゥー:僕も!)イノベーションと名付けるとしましょう。Me-too(僕も)なので、その言葉のごとく、 外部にある情報を元にして同じようなデザイン・同じような機能・同じような価格・同じようなビジネスモデルを参考にして、それらを複合的に組み合わせてビジネスイノベションを行うモデルです。  世の中で手に入りそうな情報をひたすら集め、それを参考にビジネスを企画し、市場を予測していきます。 イノベーションにおけるロジカルシンキングの罠 でも申し上げましたように、外から得られた情報を元に、製品開発を行うと、非常に似通った製品が市場に氾濫するという事態が発生しやすくなるのです。  インターネット時代の現在では、結果として世の中でえられる情報はほとんど同じな上、一定規模以上の企業がビジネスとして収益をえられる製品やサービスは必然的に似てしまうという結果となります。