2010年2月26日金曜日

国内大企業はベンチャーの革新的技術を潰すが、海外から攻める手がある

つい2週間程前、また、素晴らしい技術を持つ企業に出会った。

兄弟お二方で経営をされている会社で、ある電子技術開発に特化したことをやっていらっしゃる会社だ。

お兄様は、年齢は70歳近いとお見受けした。弟のかたは、営業担当役員をつとめていらっしゃる。

社長であるお兄様が発明・開発されたその技術は、現在多くのかたが毎日恩恵を受けている、ある革新的な先端的な技術だ。

工学博士というお兄様は、我々が付いていけないような、最先端技術のことを延々とお話をされた。

その技術は、現在多くの大企業が開発で悩んでいることを、一発で解消してしまう、画期的な技術だが、これも多くの開発型ベンチャーと同じく、「実績はありますか?」攻撃で相手を消耗させ、採用を検討するふりをして「サンプルを出せ」、「データを出せ」と次々と情報を出させて、挙句の果てに、特許の迂回の道を見つけ、周辺特許を固め、そのベンチャーにクロスライセンスを要求するという戦略をとる。

大企業も企業であるから、自社のリソースのみで仕事を進めたいということは、わかるが、先に発明している発明者に対しての敬意の欠片もない。中小企業から持ち込まれた案件を盗み見て、あたかも自分の手柄のように特許を出しまくる。

そのようにして、多くのベンチャー企業の技術の芽を摘んでしまう。

幸いにして、この会社が発明した技術の一部を使った製品を大企業が大量に生産し普及させることに成功したのでかなりの特許料を得ることができのであろう。

この会社は、その得た特許料を使って、次世代の技術を開発し、ようやくそれに成功するところまできた。

しかし、日本と言う前例主義に凝り固まった世界では、なかなかその技術を受け入れてくれるところはない。

営業といっても弟さんが一人でやられているだけで、ハードルの高い日本の大企業への営業は時間もかかるし、体力も必要だ。そこで営業支援・資金調達で我々にお声がけをいただいたというカタチである。

当社としては、この会社の開発した技術はまさに「産業界を変えてしまう」ほどのインパクトがあるという結論に達し、全面的に支援をさせていただくことにした。

まずは、シリコンバレーに拠点を置くVCに対してアピールするところから開始する。本技術は、日本の中で大手企業を相手にして悶々と悩んでいるよりも、海外で高く評価される可能性があるからだ。

このような素晴らしい技術を持っている日本の中小製造業はたくさんあると思う。

問題は、数ある中小企業で、今回のような「きらり」と光るものを持っている会社をどう探り当てるかだ。今回は幸運なことにある方の「ご縁」でご紹介をいただけることになった。

当社の社名、enmono(エンモノ)の「エン」は、「ご縁」のエンである。まさに、社名が導いてくれた、素晴らしい会社との出会いに感謝をしたい。

2010年2月25日木曜日

モノづくりのコアは「モノ」から「ソフトウェア」へ。そして、そこにある危機。

新しいモノづくりでは、間違いなく、ソフトウェアが重要になる。

先日、大手自動車メーカー出身の技術者の方とおはなしをしていた。

その方によると、高級車ではすでに組み込みソフトウェアのコード行数は1000万行を超えており、その数はますます増える傾向にあると。

おそらく2015年頃には、自動車の組込みソフトウェアの行数は1億行をこえるということ。

http://www.meti.go.jp/press/20100129002/20100129002-3.pdf

この膨大なソフトウェアの品筆管理を、通常のモノづくりの品質管理工学とおなじと捉えて管理することはすでに限界がきているということであった。

1億行というような膨大な数のコードを人間の目でチェックするのはほぼ不可能に近く、品質管理をおこなうためのツールはいくつか開発されている。

しかしながら、今回の大手自動車メーカーのリコールの問題は、この組み込みソフトの品質管理手法と、完成後のチェック体制に問題があったといわれている。

すでに、先端のモノづくりの競争ポイントは、モノからソフトへシフトしつつある。

はたして、現在の伝統的な製造業の開発部長クラスの人間で、ソフトウェア開発出身の人間が何人いるのか疑問である。

伝統的な「モノ」の品質管理は数々体験している人間でも、組込みソフトウェアの品質管理はまったくことなる次元であり、現在の大手メーカーの組織構造上、「モノ」出身の開発者が部門の上位ポジションをを務める限り、今回のような問題が繰り返し起こる可能性がある。

やはり、実際に、大規模組込みソフトウェア開発をしてきた人間が、事業部長クラスにならない限りは、組込みソフトウェアの品質管理問題はまだまだ発生する可能性が大いになると考えるべきであろう。

2010年2月5日金曜日

「マイクロモノづくり事例」No.1~自ら製品開発を行い、自ら販路を作る ユビタマゴ~

昨日、我々が探し求めていた、理想的な「モノづくりプロデューサー」の活動を行っていらっしゃる会社を訪問した。

ミツワ株式会社である。ミツワの三輪社長とは前の会社からのお付き合いである。

ミツワは化粧品会社向けの什器などをオーダーメードで製作していた。この会社は、もともとプラスチックの射出成形メーカーであった。大手の化粧品メーカーから依頼をもらい、製作をしてメーカーに納めるといった一般的な町工場であった。

しかしながら、リーマンショック後の不況の影響で、主力の化粧品などの什器の製作の仕事や、プラスチック射出成形の仕事は、受注はあっという間に減っていったと言う。

もともと、先代社長の次代から、『発明アイディを買う300人の社長』という本に掲載されるほど、一般の方や異業種でモノづくりしたいモノづくり起業家たちから、様々なアイディア商品の企画が持ち込まれる会社だった。

そんな中で、あるデザイン会社から整体師の方が考案した、マッサージやエステシャンの3本の指を再現した美顔器の試作の話が持ち込まれた。

当初の基本的な構造は現在出荷している製品とほぼ同じだが、残念ながら量産を前提としたモノづくりに適したデザインにはなっていなかった。そして苦労の末に、その試作品を仕上げ、納品をした。

しかしながら、その後、量産の話はでなかった。依頼者の整体師の方が、量産化するのに十分な資金を持ち合わせていなかったということが、理由だったと言う。

試作品納入後から、1年ほど連絡がなかった。しかし、多くの試作品が持ち込まれる中で、なぜか、この美顔器の試作品だけが、三輪社長の心の中でなんとなく気になっていた。そこで、整体師の方に、直接連絡をとり、量産化へ向けての説得を試みたという。問題は、発案者の整体師の方に開発資金が不足しているということだった。

そこで、三輪社長は決断を下す。設計費用・金型製作費用など全てミツワで負担をするので、製造と独占販売権を譲って欲しい、整体師の方には売れた分の中からロイアリティをお支払いをすると条件を提示した。

交渉の結果、製造・販売のリクスをミツワが負担することで、本製品の製品化が決定した。

しかしながら、実際に製品が出来上がってきても、販路を開拓するのも苦労の連続だったという。営業は三輪社長自らが、大手百貨店に持ち込み商談をおこなったが、ほぼ全部が門前払いだったという。

仕方なく、近くの知り合いの美容院に製品を数個おいて使って見てもらったところ、「小顔になった」というクチコミで数個が売れ始めた。

この美容院で売れ始めたという実績をもとにして、美容院にはさみやシャンプーなどをおろす、一次問屋へのアプローチをおこなったところ、こちらでも評価をいただき、扱っていただけることになった。

その後、TVショッピングなどにも評価をいただき、採用になった。TVショッピングでは、放映中に実際に整体師の方に顔半分の施術をしていただき、顔半分が小顔になることをカメラの前で証明。その整体師の指と同じ効果が、この美顔器を使えば自宅で再現できるというようなプロモーションをおこなったところ、大ヒットにつながった。

ここで三輪社長から印象深いコメントをいただいた、「製品を開発・生産するよりも、実際に販売する労力の方が遥かに大きい」と。製品を生産するよりも、販売するコストと労力が大きいことは、これまでメーカーからの依頼で製品を製造、納入してきた中小製造業には考えがつかなかったのだろう。

現在、開発した「ユビタマゴ」はバージョン1、バージョン2とあわせて約5万台が販売されたという。

このヒットの要因を尋ねたところ、企画者である整体師の方と、モノづくりのリスクを負った三輪社長との信頼関係が大きいというコメントをいただいた。

もともとこの企画は、ミツワ自身にはなかったものである。整体やエステという業界の知識もなかったし、そのなかでどのような施術がされるか、それをどのような製品に落とし込めば良いという発想そのものがなかった。

したがって、その企画を持ち込んだ方と、その製造・販売のリクスを負担するミツワとの双方が相互を尊敬、信頼することでモノづくりや、マーケティングなどもスムーズにすすみ、ヒットにつながったという。

ミツワは間違いなく、当社が新しい日本の製造業のかたちとして推奨する、「マイクロモノづくり」をまさに実践して高収益を上げていらっしゃる会社であり、その中で自ら製品開発のリスクを負い、整体師の方と協力してマーケティング、販売をおこなった三輪社長こそ、未来の日本の中小製造業が目指す、「モノづくりプロデューサー」だと考える。

今回の事例で、製品がヒットしたポイントを以下取り上げる:

・企画持ち込み者と製造者の相互の尊敬・信頼関係の構築。
・製造者が自ら資金を提供し、リスクを負うこと。
・製造者と企画者が協力して、マーケティング、営業を行うこと。

美顔器「ユビタマゴ



開発した「ユビタマゴ」と三輪社長



三輪社長とのお話の中で、ユビタマゴを開発していた当初は、仲間の製造業から、「本業を放置して、わけの分からないものの開発にのめりこんで、会社は大丈夫なのか?」という心配の声が多く上がったという。

まだ多くの中小製造業が日本国内での万単位でのロットの量産はその経済的な合理性からみて、戻ってこないことは間違いないのに、国内の量産が戻ってくると信じている。

そのことに早く気がついた、製造業が、まさにミツワのように、自社の持っているリソースをもとにして新たな中小製造業、「中小製造業 Ver2.0」へと生まれ変わるのであろう。


文責:三木

2010年2月2日火曜日

企業分割という手法、だが。。

財務超過に陥りながら、素晴らしい技術を持っている中小企業を救えないかということで、現在支援先の会社に関して、その分野にくわしい弁護士にコンタクトをとっている。


この企業分割という手法は、会社法が改正されたことから日本でもできるようになったが、まだ最先端の手法として、一般の弁護士事務所では二の足を踏むことが多いようだ。


実際、この件を相談したある弁護士事務所は、分割のスキームを電話で説明した段階で、対応出来ないと断ってきた。


それだけ、先端的な事例で、かつ株主からの訴訟などのリスクなどを検討した場合、会社分割を専門でおこなっているような事務所に依頼することが望ましいと考えている。


一般の司法書士でも対応出来るようだが、訴訟などのリーガルリスクなどを考えると、やはり弁護士事務所が望ましいと考えている。


問題は、債務超過に陥った会社には手元にキャッシュがないことである。


弁護士費用は決して安くはない、内容の複雑さによっては高級車1台分の弁護士費用が必要とされるケースもある。


そのようなコストをどこから捻出するのか、ということが今後の課題になるであろう。


その中小製造業の技術を高く評価し、その会社を再生させる価値があると判断した投資家などからの費用から捻出する方法、もしくは、今その会社が持っている資産を何らかの形でキャッシュに変えてそこから捻出する方法などが考えられるが、企業再生のためのコストをどこから捻出するか、それが今後の課題になる。


もし、投資家から企業再生に関わる費用に関しての支援を得られるようなスキームを完成させることができれば、それはenmono社の定番のスキームになることができると考える。


何事にしても、悩まず、常に前向きに考えていけば解決策は見つかると信じて前進だ。