3月を最後に、しばらくお休みをしていました、ブログですが、再開をいたします。
お休みをいただいていた理由は、自分たちの考える、「マイクロモノづくり」が果たして正しい方向なのかという不安があり、方向感をしばらく失っていたことがあります。
しかしながら、休んでいる間に、ずいぶん多くの出会いやイベントがあり、やはりこの方向性がまちがっていないと確信するにいたり、ブログを再開することにいたしました。
●今の日本は現実が見えているか。
「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えているわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見えていない」ユリウス・カエサル (僕の敬愛する、塩野七生さんの書籍から。)
現実を直視することは、時として非常に残酷ですが、次の時代を予知しそれに適切な処置を取るためには必要です。
今の日本人は現実が見えているでしょうか?
見たくない現実:
・84円を切りそうな円高
・世界の製造拠点は引き続き、中国その他東アジアの国々
・GDPでは、ほぼ中国に抜かれること確実で世界第3位に
・日本の主要産業である製造業大手の生産拠点は海外へシフト
・日本国内に、もはやメーカーからの量産案件は戻ってこない
これらの現実を見れば、日本の国力の衰えは確実です。すこし大きく言えば、国としての産業戦略が、完全に破綻したといっても過言ではありません。
なぜなら、周囲の環境が激変している中で、これまで主力産業であった製造業が国内で大量生産を行ない、それを輸出し、外貨を獲得するというゴールデンルールが永遠に続くと考え、産業戦略の大転換が必要であるにもかかわらず、その体制をそのまま維持するような方向で動いてきてしまったということです。本来であれば、10年前に舵を切っておくべきだったと思います。
その背景には、これまでのビジネスモデルが続くと考え、それに頼って生きてきた我々の怠慢であると考えます。
大手企業からの図面がなければ、モノづくりをする必要がない環境の中で、中小製造業は、自分で発想し、自分で企画し、自分でデザインし、自分で設計し、自分で試作し、自分で量産化し、自分で販路を開拓し、自分で資金を回収するという、戦前であれば本来のメーカーが持っていた機能を、「系列」の中で降りてくる仕事をひたすらこなすことで、能力を失ってしまったということが言えるとおもいます。
では、大手メーカーからの外注仕事がなくなった今、どうするべきなのか。
海外へ出て行く体力がある会社は、生産拠点の海外展開にともない、一緒に海外へでていくことがひとつの解なのかもしれません。
しかし、そこまでの規模、体力がない中小、零細はどうすべきなのか。
やはり、自分で発想し、自分で企画し、自分でデザインし、自分で設計し、自分で試作し、自分で量産化し、自分で販路を開拓し、自分で資金するという、本来のかたちにもどるべきだとおもいます。
ただし、これまでのように、大量生産のニーズはないですから、これまでの数の5分1、10分の1の数の最終製品を、5倍、10倍の付加価値で生産販売することで最終的な帳尻を合わすしかないのだと思います。
そのことを、我々は、「マイクロモノづくり」とよんでいます。
では、そのマイクロモノづくりを行うためにはどのような要素が必要なのでしょうか。
ここ数カ月の我々の活動を通じて感じた「マイクロモノづくり」に必要な要素を以下挙げます。
1.まずは、開発費必要な「種」になる資金。
自社で製品開発をすることは、ある程度まとまった資金負担が必要に。これらは、日々の売上のなかの一部を積み立てて行うか、国の助成金などの制度を利用する。金融機関からの融資は最終手段。
2. 異業種とのネットワーク
同業者ではなく、プロダクトデザイン、マーケティング、ブランディング、販路開拓などおこなえる外部とのネットワークが必要。これらが無ければ、自社で全ての人員を抱えてモノづくりをせざるをえない。リスクと資金負担がかえって大きくなるので、ワンオフで必要なタイミングで外部に委託する覚悟を。ネットワークをそなえたサービスビューローに相談するのもひとつの手。
3.独りよがりではなく、ユーザー中心のプロダクトデザイン
4.マーケティングも必要だが、大掛かりな統計データではなくターゲットとするコアになるユーザーの「生の声」が参考に。
5.そのモノづくりにかける、自社の熱い想いと、それを取り巻く人達の「物語」。
(ただ売れるからという目論見で、安易なキャラクター版権を付与するようなモノづくりではストーリーは決して生まれないし、時代はそのような製品を求めていない。キャラクターは大量生産時代の遺物。)
6.少量生産に適した 金型レスのモノづくり
(中空・金属積層・樹脂積層・RPなどを積極的に使ったAddtive Manufacturingも自由に使いこなす、発想の柔軟性。)
7. 少量、多品種生産に適した品質管理手法の確立。
8. 社長自らが、サンプルを手にして営業に歩き、販路を開拓するほどの「強く売る」意志。マイクロモノづくりでは、ブランディングと販路開拓に全事業の7割のエネルギーを注ぐべき。
これらが、この数ヶ月で感じた「マイクロモノづくり」に必要な要素です。
これらの要素は、我々がこの数ヶ月にTwitter, Facebook Linked-inなどを通じ、日本のモノづくりを危惧する人々との対話の中から浮き彫りになってきた要素です。
折を見ながら、これらの8つの要素を、今後のブログの中で具体的に紹介していきたいとおもいます。
お休みをいただいていた理由は、自分たちの考える、「マイクロモノづくり」が果たして正しい方向なのかという不安があり、方向感をしばらく失っていたことがあります。
しかしながら、休んでいる間に、ずいぶん多くの出会いやイベントがあり、やはりこの方向性がまちがっていないと確信するにいたり、ブログを再開することにいたしました。
●今の日本は現実が見えているか。
「人間ならば誰にでも、現実の全てが見えているわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見えていない」ユリウス・カエサル (僕の敬愛する、塩野七生さんの書籍から。)
現実を直視することは、時として非常に残酷ですが、次の時代を予知しそれに適切な処置を取るためには必要です。
今の日本人は現実が見えているでしょうか?
見たくない現実:
・84円を切りそうな円高
・世界の製造拠点は引き続き、中国その他東アジアの国々
・GDPでは、ほぼ中国に抜かれること確実で世界第3位に
・日本の主要産業である製造業大手の生産拠点は海外へシフト
・日本国内に、もはやメーカーからの量産案件は戻ってこない
これらの現実を見れば、日本の国力の衰えは確実です。すこし大きく言えば、国としての産業戦略が、完全に破綻したといっても過言ではありません。
なぜなら、周囲の環境が激変している中で、これまで主力産業であった製造業が国内で大量生産を行ない、それを輸出し、外貨を獲得するというゴールデンルールが永遠に続くと考え、産業戦略の大転換が必要であるにもかかわらず、その体制をそのまま維持するような方向で動いてきてしまったということです。本来であれば、10年前に舵を切っておくべきだったと思います。
その背景には、これまでのビジネスモデルが続くと考え、それに頼って生きてきた我々の怠慢であると考えます。
大手企業からの図面がなければ、モノづくりをする必要がない環境の中で、中小製造業は、自分で発想し、自分で企画し、自分でデザインし、自分で設計し、自分で試作し、自分で量産化し、自分で販路を開拓し、自分で資金を回収するという、戦前であれば本来のメーカーが持っていた機能を、「系列」の中で降りてくる仕事をひたすらこなすことで、能力を失ってしまったということが言えるとおもいます。
では、大手メーカーからの外注仕事がなくなった今、どうするべきなのか。
海外へ出て行く体力がある会社は、生産拠点の海外展開にともない、一緒に海外へでていくことがひとつの解なのかもしれません。
しかし、そこまでの規模、体力がない中小、零細はどうすべきなのか。
やはり、自分で発想し、自分で企画し、自分でデザインし、自分で設計し、自分で試作し、自分で量産化し、自分で販路を開拓し、自分で資金するという、本来のかたちにもどるべきだとおもいます。
ただし、これまでのように、大量生産のニーズはないですから、これまでの数の5分1、10分の1の数の最終製品を、5倍、10倍の付加価値で生産販売することで最終的な帳尻を合わすしかないのだと思います。
そのことを、我々は、「マイクロモノづくり」とよんでいます。
では、そのマイクロモノづくりを行うためにはどのような要素が必要なのでしょうか。
ここ数カ月の我々の活動を通じて感じた「マイクロモノづくり」に必要な要素を以下挙げます。
1.まずは、開発費必要な「種」になる資金。
自社で製品開発をすることは、ある程度まとまった資金負担が必要に。これらは、日々の売上のなかの一部を積み立てて行うか、国の助成金などの制度を利用する。金融機関からの融資は最終手段。
2. 異業種とのネットワーク
同業者ではなく、プロダクトデザイン、マーケティング、ブランディング、販路開拓などおこなえる外部とのネットワークが必要。これらが無ければ、自社で全ての人員を抱えてモノづくりをせざるをえない。リスクと資金負担がかえって大きくなるので、ワンオフで必要なタイミングで外部に委託する覚悟を。ネットワークをそなえたサービスビューローに相談するのもひとつの手。
3.独りよがりではなく、ユーザー中心のプロダクトデザイン
4.マーケティングも必要だが、大掛かりな統計データではなくターゲットとするコアになるユーザーの「生の声」が参考に。
5.そのモノづくりにかける、自社の熱い想いと、それを取り巻く人達の「物語」。
(ただ売れるからという目論見で、安易なキャラクター版権を付与するようなモノづくりではストーリーは決して生まれないし、時代はそのような製品を求めていない。キャラクターは大量生産時代の遺物。)
6.少量生産に適した 金型レスのモノづくり
(中空・金属積層・樹脂積層・RPなどを積極的に使ったAddtive Manufacturingも自由に使いこなす、発想の柔軟性。)
7. 少量、多品種生産に適した品質管理手法の確立。
8. 社長自らが、サンプルを手にして営業に歩き、販路を開拓するほどの「強く売る」意志。マイクロモノづくりでは、ブランディングと販路開拓に全事業の7割のエネルギーを注ぐべき。
これらが、この数ヶ月で感じた「マイクロモノづくり」に必要な要素です。
これらの要素は、我々がこの数ヶ月にTwitter, Facebook Linked-inなどを通じ、日本のモノづくりを危惧する人々との対話の中から浮き彫りになってきた要素です。
折を見ながら、これらの8つの要素を、今後のブログの中で具体的に紹介していきたいとおもいます。
2.異業種ネットワーク
返信削除異業種広域連携 (or クラウドを活かしたバーチャルファクトリ)は有効なソリューションと考えています。国境(nationality)ではなく、考え方(or value, spirit, philosophy)を信頼関係の根拠とする連携が、SMEの強みを高めていくと考えています。
6. 金型レス
積層、接合、そして鍛造への取り組みが進められていますが、いずれについても材料学 (or ミクロレベルで何が起きているか、それが最終製品において、一定の時間軸においてどのような影響をもたらすか)が重要(critical point)になると思います。
上述の異業種連携の機能を活かして=ネットワーク全体で品質管理をすることも(責任の所在があいまいになる等の課題があると思いますが)製品によっては検討の余地はあると思います。