2016年8月16日火曜日

イノベーションにおけるロジカルシンキングの罠

イノベーションにおける「ロジカルシンキングの罠」

  現在行っている仕事上、中小企業だけではなく、多くの大企業の方とお逢いします。名刺交換をさせていただく中で、2015年頃から、名刺交換した大手企業の中で「◯◯イノベーション推進本部」など、「イノベーション」という言葉が多く見かけられるようになってきました。

 2016年に入り、「イノベーション」なる言葉を冠にした部署が日本の大企業の中でここまで多くできているのかとびっくりしています。

 日本企業で「イノベーション」部署が乱立している背景は何か、個人的な感想ですが、それは市場の既存の商品やビジネスモデルではそれ以上の成長を見込めず、新規市場に活路を求める大企業が増えているのでしょう。

 その結果として、猫も杓子も「◯◯イノベーション推進本部」というものが新設され、より革新的な製品やサービスを生み出そうと躍起になっているのだと思います。

 しかし、その「◯◯イノベーション」という部署から生み出される製品の多くが、ほとんど同じようなコンセプトの製品であるということが見受けられる気がしています。

 よくあるのが「◯◯」x「IoT」というもので、「◯◯」はこれまでは非効率で、ITなどで効率化することでレバレッジが効く産業分野であるようなものが好ましく、例えば、「農業」x「IoT」や、「教育」x「IoT」などであり、その結果として出てくる製品やサービスが重なり、あっという間にレッドオーシャン市場になってしまうというものです。

 そもそも、製品のコンセプトを企画する段階で、多用されるであろう、ロジカルシンキング的なアプローチに原因がある気がしています。

 もちろん、ロジカルシンキングは事業を組みたてる上では非常に重要で、これを否定するものではありません。しかし、そのロジカルシンキングを使うタイミングを誤ると、イノベーティブな製品を生み出す際に障害になるのではないかと考えています。

 それは、ロジックの積み上げで真にイノベーティブな製品や、サービスが生み出せないのではないかという推察です。

 製品開発の分野において、製品の構成要素の元になるロジックのもとになるファクトは、インターネット時代、もはやどこの企業でも同じタイミングで手に入る情報です。

 「企業Aの研究所がこのような技術を開発した」・「某国のスタートアップがこのようなサービスをスタートした」・「✖️✖️分野の規制改革が行われ、ここにサービス参入の余地が出てきました」そのようなWEBのニュースはFacebook, TwitterなどのSNSでシェアされ一斉に世界に広まります。

 上記のような様々なファクト情報を参考にして、アイディアを生み出し、そこに「ioT」などを掛け合わせることで、それらを製品化、サービス化しようというアプローチです。


 ここに2つの製品開発アプローチを提示する。一つは「ロジックのつみ上げで製品企画のゴールに到達する従来的なイノベーション手法」です。

ロジックの積み上げで製品企画のゴールに到達する従来的なイノベーション手法


  この製品開発アプローチでは、ニーズと市場がありそうな製品企画があり、技術があり、組織があり、生産拠点があり、販路があり、資金がありというようにいくつものリソースをロジック通り組み合わせることで、出て来る製品規格になります。


ただし、投資するためには企業の役員会を突破できる企画としてはいかのような必要条件が必要だとおもわれます。

・机上では自社のビジネス規模に十分な市場があるように思える分野。
・机上では大きな成長性があるように思える分野。
・机上では自社に優位性があると思える製品・サービスの分野。

 上記の条件を満たすような製品・サービスであり、かつ世の中にある情報と、特定分野の企業の社内のリソースを組み合わせてできる製品企画で極めて限られており、その結果、同じような社内のリソースを持っている競合企業から出てくる企画は当然、「非常に似たもの」になります。

 その結果、同じようなコンセプトの製品やサービスが同じようなタイミングで市場に複数投入され、あっという間に「レッドオーシャン」になります。


 もう一つは、「開発者の情熱のままに欲しいと思うゴールを設定し、そこから逆算して、技術、資金、市場、などをロジックで組み合わせる方式の製品企画」です。

開発者の情熱のままに欲しいと思うゴールを設定し、そこから逆算して、技術、資金、市場、などをロジックで組み合わせる方式の製品企画



 この製品開発アプローチは、当社が採用しているアプローチです。まずはワクワクトレジャーハンティングチャート(詳しくはこちらを参照ください。)という当社の開発したチャートと、マインドフルネス瞑想を用いて、開発者が「自分自身が欲しい」と思う製品コンセプトを取り出します。

スライド1.PNGスライド3.PNG




  開発者自身が、この企画する製品の一番のユーザーなので、当然製品コンセプトを微に入り細に入り細かく企画をします。


 企画した商品をどうしても世の中に出したいという想いに基づき、どうにかしてそれを成立させる、技術、市場、組織、生産体制、販路を、「ロジカルシンキング」的なアプローチで、漏れなく、ダブりなく徹底的に考えぬきます。

 かりに、必要とおもわれるリソースに抜け・漏れ・ダブりがあろうとも、開発者自身が欲しいものなので、情熱をもって動き、人や組織を説得し必要な資源を持ってきて、なんとか企画自体を成立させてしまいます。

これらの製品・サービスの特徴は:
・一見、ビジネス規模に十分な市場があるとは思えないような分野。
・一見、大きな成長性があるとは思えない分野。
・ただし、自社に大きな優位性がある製品・サービスの分野。

 というものになります。この「一見」というところがミソで、競業他社は「儲かりそうもない」という判断を安易に下し、かりに同じようなアイディアをもっていたとしても早い段階でこのアイディアを手放してしまいます。
 
 しかしながら、開発者として情熱をもった人間がこの一見「儲からない」と思える製品・サービスをぐいぐい引っ張って開発をすすめ、圧倒的なレベルまで製品の完成度をあげてしまい、市場にでるころには、相当に製品・サービスとしての質感、付加価値が向上しています。
 
 そして、コンセプトの最初の企画は、「開発者の極めて身勝手なお一人様モノづくり」企画だったのにもかかわらず、ロジックを組み立て、製品として成立させるために、現実的なアプローチをとるために、現実的なものになっていくのです。

 この製品アプローチは、ソニーの「ウォークマン」やアップルのiPhoneに代表されるような、製品コンセプトに徹底的こだわり、製品の細部まで細かくつくりこみつつ、そのコンセプトに合わせて技術や量産技術なども同時に生み出す方式です。

 この製品の特徴は、他社が「儲からなさそう」と早い段階で見放したコンセプトであり、一方製品としての新規性は極めて高く、同時に質感や付加価値は相対的に高いものになるので、競合製品がほとんどなく、成功した場合、永い間その市場を独占する可能性を秘めています。

 次回は、この製品開発に対する「情熱」を、具体的にどうやって取り出すのかということについて、解説をさせていただこうとおもいます。


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